野球をがんばる中学生の高校進学|3つの進路と選択肢の残し方
野球を続けながら高校進学を考えるご家庭へ。野球推薦・推薦入試・一般入試の3つの進路と、それぞれに必要な準備を整理しました。引退時期から逆算した進め方を、令和9年度入試の日程をもとに学習塾講師が解説します。

お子さんが野球を続けながら高校進学を考えるとき、道は大きく3つに分かれます。野球推薦、推薦入試、そして一般入試です。
この3つは、必要な準備も、準備を始める時期も違います。そして早い段階でどれか1つに絞ってしまうと、あとから他の道に戻るのが難しくなります。野球の予定は動かせません。だからこそ、勉強の側で「まだ選べる状態」をどう保っておくかが、進路の分かれ目になります。
この記事では、3つの進路を整理したうえで、練習スケジュールと並行して選択肢を残していく進め方をまとめました。今すぐ志望校を決める必要はありません。まずは全体の地図を持っていただくことが目的です。

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この記事の内容は、Kindle本『野球をがんばる中学生の高校受験 野球推薦・内申・英検・引退後の勉強まで』にもまとめています。まとめて読みたい方は Amazonの商品ページ
1章:引退から入試までに、時間はどれくらい残る?
東京都立を受ける場合、引退から入試までに残るのは5〜8か月です。しかもチームの勝ち上がり方によって、区切りは1か月以上ずれます。

中学硬式のクラブチームであれば、週末は土日とも活動、平日にも練習日が入るのが一般的です。遠征が重なる時期には、土日が丸ごと消えます。部活の軟式でも、平日の練習を終えて帰宅は夕方から夜になります。ユニフォームを脱ぐ気力もなく眠ってしまう日があるご家庭も、少なくないのではないでしょうか。
そのうえで、引退から入試までの期間を数えてみます。区切りは所属によって差が出るので、2026年夏の全国大会の日程を例に見てみます。
所属別・中3の区切りの目安(2026年の全国大会)
| 所属 | 全国大会 | 日程 |
|---|---|---|
| リトルシニア | エイジェックカップ 第54回 日本リトルシニア日本選手権大会 | 開会式7月31日(金)/8月1日(土)〜6日(木)・明治神宮野球場ほか |
| ボーイズリーグ | エイジェックカップ 第57回 日本少年野球選手権大会 | 8月2日(日)〜7日(金)(予備日8月8日) |
| ヤングリーグ | 第34回 ヤングリーグ選手権大会 | 7月25日(土)〜29日(水)・淡路佐野運動公園野球場ほか |
| ポニーリーグ | マルハングループインビテーション 大倉カップ 第52回 全日本選手権大会 | 開会式7月17日(金)/決勝7月22日(水)・江戸川区球場 |
| 中学軟式(部活) | 令和8年度 第48回 全国中学校軟式野球大会 | 8月18日(火)〜22日(土)・島根県(出雲市・松江市・安来市) |
このほか、軟式では第43回全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメントが8月9日(日)〜14日(金)に神奈川県(横浜スタジアム)で行われました。各連盟の王者が集うジャイアンツカップ(第20回全日本中学野球選手権記念大会)は東京で開かれ、8月10日に開幕しました。ここまで進むと、区切りはさらに後ろへずれます。
地区予選が6月に終われば7月から受験に軸足を移せますが、全国大会まで進めば8月下旬まで野球が続きます。チームがどこまで勝ち進むかで、区切りは1か月以上動きます。
入試本番は、東京都立を例にとると、令和9年度(2027年度)入学者選抜で推薦に基づく選抜の検査が2027年1月26日・27日、学力検査(第一次募集)が2月21日です。引退してから入試までに残るのは、長くて約8か月、短ければ5か月ということになります。一般的な受験生が中1から3年かけて積み上げてきた分量を、この期間で追いかけることになるわけです。引退後に何から始めればいいかは、次の記事で詳しく扱っています。
大会日程・入試日程はいずれも年度によって変わります。所属チームの実際の区切りは地区予選の結果次第です。入試日程は都道府県によっても異なるため、お住まいの地域の教育委員会の発表をご確認ください。
ここで起きやすいのが、「とりあえず野球推薦で」という考え方に早い段階で寄りかかってしまうことです。時間がないという現実から出てくる自然な発想だと思います。ただ、3章で見るとおり、野球推薦にも内申点や出席状況の条件がつくケースは多く、「推薦だから勉強はしなくていい」という前提が成り立つ場面はほとんどありません。
引退後に伸びる子と、伸び悩む子は何が違う?
塾で生徒を見ていると、引退後の伸び方がはっきり分かれると感じることがあります。それまでに積んだ勉強時間の長さより、勉強が「嫌なもの」になっていたかどうかで分かれます。
中1から勉強の習慣があった生徒も、毎日長い時間を机に向かっていたわけではありません。塾で講師と、今日の授業がどうだったとか、この問題がよく分からなかったとか、勉強の話をする短い時間を続けていた程度です。それでも習慣になっていたので、引退して本格的に始めるとなったときに、机に向かうこと自体への抵抗がありませんでした。
一方、中3まで一切習慣がなかった場合は、引退後にまず「座って勉強する」という状態をつくるところから始めることになります。この立ち上げに、思っている以上の時間がかかります。内容以前のところでつまずくので、本人にとってもつらい時期になります。
ですから、練習が忙しい中1・中2の時期に「1日2時間確保する」といった計画を立てる必要はないと考えています。中1・中2で大事にしたいのは、勉強が嫌なものにならないまま中3の夏を迎えることです。 これが引退後の伸びしろを決めます。習慣が続かない理由については、次の記事で別途整理しました。
2章:「選択肢が狭まるのでは」という不安に、どこまで手を打てる?
保護者の方から寄せられる不安は4つに分かれ、そのうち3つはご家庭で手を打てます。野球推薦が決まるかどうかは、ご家庭では動かしにくい部分です。
不安1:成績が下がっていくこと
野球の負荷が上がる時期と、学習内容が難しくなる時期は重なります。中2の後半あたりで、それまで何とかなっていた科目が急に手に負えなくなる。数学なら一次関数から、英語なら時制と文構造が増えるあたりです。ほとんどの場合、原因は能力より、勉強に使える時間が単純に足りていないことにあります。
時間の絶対量が増やせなくても、どの時間に何をやるかを設計し直せば、多くの場合は下がるのを止められます。具体的な立て直しの手順は次の記事にまとめました。
不安2:野球推薦が確実ではないこと
推薦の枠は、その年のチーム事情、ポジション、他の候補者との兼ね合いで動きます。前年に同じような選手が推薦を受けたからといって、翌年も同じとは限りません。ご家庭の努力ではどうにもならない要素が大きいところに、この不安の難しさがあります。
だからこそ、推薦が決まらなかった場合の道を並行して残しておくことが、現実的な対処になります。
不安3:一般入試に対応できる学力が残っていないこと
引退後に切り替えようとしたとき、基礎の抜けが想定より大きくて、そこから積み直すことになる。これはよく起きます。高校入試は中1からの範囲が全部出るので、中1の内容に穴があると、中3の問題を解いても点が伸びません。
ただし、抜けている箇所はお子さんごとに違います。全部をやり直すより、どこが抜けているかを特定してそこだけ埋めるほうが、必要な期間は大幅に短くなります。早く特定するほど、打てる手は増えます。
不安4:本人の意向が読めないこと
「高校でも野球を続けたいのか」「どのレベルで続けたいのか」をお子さんが言語化できていない段階で、保護者の方だけが先に進路を考えてしまう。ここがずれていると、どんな計画も続きません。
急いで結論を出させるより、判断材料を揃えて本人が選べる状態をつくるほうが結果的に早い、というのが4章以降の話につながります。
この4つを並べてみると、手を打てるのは1・3・4の3つだと分かります。次章から、そちらを具体的に見ていきます。
3章:野球を続ける中学生には、どんな進路がある?
野球推薦を軸に置く、推薦入試と一般入試を並行する、引退後に一般入試へ切り替える、の3つです。 高校入試の制度は都道府県によって違いますが、野球を続けているお子さんの場合、選ばれる形はこの3つに集約されます。

パターンA:野球推薦を軸に置く
野球の実績を評価してもらい、推薦での進学を目指す形です。私立の強豪校であれば、中3の夏前後にチームの監督を通じて話が動きはじめることが多くなります。
向いているのは、チーム内・地域内での実績が明確にあり、高校でも野球を続けたい意思が本人にはっきりある場合です。ただし、推薦で強豪校に進んだ後に授業についていけなくなるケースもあります。入学したあとも勉強は続く、という前提は持っておいたほうがいいと思います。入学後に起きやすいギャップについては、次の記事で詳しく扱っています。
野球推薦でも、成績の基準はある?
あります。誤解が多いところなので、実際の募集要項を並べます。野球部が強い4校の、野球部の生徒が使う区分の出願条件です。
| 学校 | 区分 | 出願に関わる成績・出席の条件 |
|---|---|---|
| 桐蔭学園(神奈川・私立) | 推薦入試(専願)スタンダードコース | 成績基準は5科21以上または9科36以上(英検準2級・数検準2級以上があれば5科20・9科35)。全出願者の資格として、第3学年の9教科に「1」がないこと、中3の欠席10日以内。スタンダードコースには、指定の運動部への入部条件を満たし、学校から出願を認められた者という経路もある(アドバンスは5科22/9科38、プログレスは5科24/9科42で、運動部の経路はない) |
| 関東第一(東京・私立) | 一般入試「第一志望優遇」アスリートコース(推薦入試の対象外。入試相談のうえ2月11日に英語・国語・数学の学科試験と個人面接を受ける) | 成績基準は5科16。共通要件として9科に「1」の評定がないこと、中1・中2・中3の欠席がそれぞれ15日以内(または3年間45日以内かつ3年次15日以内)。使う内申は3年の1学期または2学期。アスリートコースで使える加点はスポーツ実績の+2だけ。対象種目に硬式野球を明記 |
| 浦和学院(埼玉・私立) | 単願推薦 アスリート選抜コース | 中学校推薦基準は単願5科16または9科30(併願は5科17または9科31)。3年次の9教科に「1」がないこと、3年次の欠席10日以内(学校生活に支障がない場合は20日まで)。相談時に基準を満たしていても、出願後の調査書で3年次9教科に「1」があった場合や、3年次の欠席が11日以上(理由がある場合は21日以上)だった場合は推薦対象外。対象は男子野球部・男子サッカー部への入部希望者 |
| 都立城東(東京・都立) | 一般推薦/文化・スポーツ等特別推薦 | 一律の内申の基準はないが、調査書点が総合成績に占める割合は50%までと定められており、配点上の比重は大きい。特別推薦は硬式野球部を含む種目で実施 |
読み取れることは3つあります。
①内申の合計に、はっきりした数字の基準があります。 関東第一は5科16、浦和学院は単願で5科16または9科30、桐蔭学園はスタンダードコースで5科21または9科36です(学校が指定する運動部の入部条件を満たし、出願を認められた生徒は、この数字とは別の出願資格で出願できます)。競技の実績があっても、基準の数字に届いていなければ出願の相談に進めない学校があります。逆に言えば、目指す数字が先に分かるので、どの科目をあといくつ上げればいいかを逆算できます。
②「1」と欠席日数も条件です。 3校とも9教科に「1」がないことを条件にしています。欠席は、関東第一が各学年15日以内、桐蔭学園と浦和学院が中3で10日以内です。遠征や体調不良で休みが重なると、ここで引っかかることがあります。
③個別相談で話がついても、最後は調査書で判定されます。 浦和学院の要項には、相談時に基準を満たしていても、出願後の調査書で「1」や欠席日数が条件を外れていれば推薦対象外になる、と明記されています。「声はかかっている」と「出願できる」は別の話です。なぜ推薦でも成績が見られるのか、基準の調べ方も含めて次の記事で解説しています。
なお、都立高校にも野球推薦にあたる「文化・スポーツ等特別推薦」があり、令和9年度は硬式野球で58校が実施します。ただしこの枠は、応募者が募集数に達していなくても、技能が一定の水準に届かなければ不合格になる設計です。学校ごとの配点や倍率、出願の流れは次の記事にまとめました。
桐蔭学園と浦和学院は2027年度の生徒募集要項、関東第一は令和9年度(2027年度)入試の出願基準によります(2026年10月24日に確認)。条件は年度ごとに変わり、多くの場合は競技実績や、中学校と高校のあいだの「入試相談」など、数字に表れない要件も伴います。必ず受験する年度の要項でご確認ください。
パターンB:推薦入試と一般入試を並行して準備する
推薦入試を狙いつつ、届かなかった場合に一般入試へ切り替えられる状態を維持しておく形です。野球推薦の話が確定的ではない場合や、公立高校を志望する場合に向いていて、実際にはこのパターンが最も多くのご家庭に当てはまります。
複数のルートを並行するぶん、学習の設計がいちばん難しいのがこのパターンです。ただし、両方を全力でやる必要はありません。内申点を確保する動き(推薦の条件を満たす動き)と、基礎学力を維持する動き(一般入試の土台)は、中学段階ではかなりの部分が重なります。
パターンC:引退後に一般入試へ切り替える
中3の引退までは野球に集中し、そこから受験に切り替える形です。推薦を視野に入れていない場合や、学力で目指したい高校が明確にある場合に向いています。
切り替え後の期間が短いため、切り替え時点での基礎の状態が結果を大きく左右します。引退してから「どこが抜けているか」を調べ始めると、その調査だけで数週間が消えます。引退後の具体的な進め方は次の記事を参照してください。
3つに共通すること
パターンが違っても、中1・中2の段階でやるべきことはかなり重なります。内申点を落とさないこと、基礎を切らさないこと、志望校の条件を早めに調べること。この3つは、どの道を選んでも無駄になりません。
進路を早く1つに絞る必要はありません。 絞らないまま準備を進めることは可能です。
4章:選択肢を残したまま、何から準備すればいい?
志望校の条件を調べる、内申点を日常で取る、英検を11月までにそろえる、方針を決める日を決めておく、の4ステップで進めます。 勉強を始める前に、まず条件を調べます。

ステップ1:志望校の条件を調べる(最優先)
調べる項目は3つです。内申点の基準/英検などの加点条件/出願と入試の時期。これらは学校ごとに違い、しかも年度によって変わることがあります。私立であれば学校の募集要項に、公立であれば都道府県教育委員会の実施要綱に書かれています。
条件が分からないまま勉強を始めると、必要のないことに時間を使ってしまいます。逆に条件さえ分かれば、そこから逆算するだけで、やるべきことの大半が決まります。そのため、勉強より先に条件を調べます。
野球推薦を視野に入れている場合は、あわせてチームの監督に、その高校との過去のやりとりを聞いておくと具体的になります。
ステップ2:内申点を確保する動きを、日常に組み込む
内申点として実際に数えられる学年は、お住まいの地域によって違います。
| 地域 | 数えられる学年 |
|---|---|
| 東京都 | 中3(実技4教科は2倍。一般入試では65点満点) |
| 神奈川県 | 中2・中3(中3は2倍。135点満点) |
| 埼玉県・千葉県 | 中1〜中3 |
塾に通わずに内申点と受験対策を進める方法は、次の記事でも扱っています。
中3だけを数える地域でも、中1・中2の内容は中3の成績に響きます。中学の学習内容は積み上がっていくので、中1・中2で穴を作ると、中3で急に評価を上げるのは難しくなります。数えられる学年が決めるのは、いつの成績が使われるかまでで、準備を始める時期はそれとは別に考えておきたいところです。
内申点には、定期テストの点数に加えて、提出物や授業への参加、小テストも入ります。日々の学校生活のなかで積み上がっていくものです。
野球をやっているお子さんにとって、これは有利に働く面があります。学校にいる時間は必ず確保されているからです。練習後の夜に机に向かう時間を増やすより、学校にいる時間を取りこぼさないほうが、負担が軽くて確実です。 授業中に理解を済ませ、提出物をその場で片付ける。これだけで内申点は変わります。中3の評定がどう決まり、2学期のどこで上げられるかは、次の記事で詳しく整理しました。
続いている生徒に共通する、4つのこと
塾で見ていて、シーズン中も学習が途切れない生徒には共通点があります。特別なことは何もしていません。
忙しい日は、無理をせずしっかり休む。 これが最初に来ます。遠征明けの夜に机に向かわせても、内容は入りません。それどころか「やったのにできなかった」という記憶だけが残って、次の日のハードルが上がります。休むと決めた日は休ませたほうが、翌週まで含めた合計では前に進みます。声のかけ方に迷う場合は、次の記事が参考になるかもしれません。
そのぶん、すきま時間で少しだけやる。 朝起きてすぐ、通学中、寝る前。この3つの時間帯は、疲れていても使えます。大事なのは、その場で何をやるかを先に決めておくことです。「時間ができたら勉強しよう」と思っているうちは、時間ができても始まりません。

勉強を、野球の敵だと思っていない。 ここが大きいところです。「勉強すると野球の時間が減る」という捉え方をしていると、机に向かうこと自体に抵抗が出ます。逆に、進路の選択肢を広げるための手段として勉強を見ている生徒は、短い時間でも普通に手をつけます。
勉強することを、恥ずかしいと思っていない。 チームの雰囲気によっては、勉強している姿を見せにくいことがあります。移動中に単語帳を開くのが気まずい、というようなことがあります。ここが取れているかどうかで、使える時間の量が変わります。
この4つは、学習法というより、続けられる状態をどう作るかの話です。そして内申点は、この状態が保てていれば自然についてくる部分が大きいと感じています。授業中に理解を済ませ、提出物をその場で片付けられるのは、勉強に対して身構えていない生徒だからです。
ステップ3:英検を、締切から逆算して取りにいく
英検は、私立高校の推薦で基準の緩和や加点、出願の条件として使われることがあり、しかも一度取れば消えません。時間が細切れになりがちな野球家庭にとっては、取り組みがいのある資格です。
「英検は年3回しかないから、大会と重なると受けられない」という心配は、今はほとんど当たりません。英検S-CBTは原則毎週の土日に実施されているので、遠征のない週末を選べば受けられます。S-CBTは3級以上が対象で、4級・5級は従来型で受けることになります。
制約になるのは日程より、いつまでに結果が出ていればいいかという期限です。S-CBTも従来型と同じ「第1回・第2回・第3回」の検定回の区切りのなかで行われていて、第2回は8月〜11月、第3回は12月〜3月に実施されます。一方、東京の私立高校の推薦では、12月15日以降に中学校と高校の先生のあいだで入試相談が行われます。ここから逆算すると、第2回検定(8月〜11月実施分)が実質的な最終ラインです。
野球のスケジュールで言えば、中3の夏に引退してから第2回検定が終わる11月まで、3か月ほどあります。この期間は英検に使えます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 中1〜中2 | 3級の取得を目指す。従来型・S-CBTのどちらでもよい。4級・5級から始める場合は従来型のみ |
| 中2の冬〜中3の春 | 準2級に取りかかる。S-CBTなら同じ検定回で3回まで挑戦できる |
| 中3の夏(引退後)〜11月 | 最後の機会。11月までに受けて、12月中旬の入試相談までに結果をそろえる |
| 中3の冬 | 英検は終わりにして、入試の対策に集中する |
志望校の要項で英検がどう扱われているか(基準の緩和なのか、加点なのか、出願の条件なのか)は、学校とコースによって違います。2026年度の試験からは、受験のときに顔写真付きの身分証明書の原本が必要になっているので、中学生の場合に何が使えるかも申し込みの前に英検協会の案内で確かめておいてください。学校ごとの実例とS-CBTの受け方は、次の記事で詳しく扱っています。
ステップ4:判断のタイミングを、あらかじめ決めておく
「いつ進路を決めるか」を、決める前に決めておきます。
たとえば「中3の◯月時点で、野球推薦の話が具体的に出ているかどうかで方針を確定する」という形です。基準を先に置いておけば、その日まではパターンBのまま準備を続けられます。基準がないと毎月なんとなく迷い続けることになり、その迷いが学習の手を止めます。
学年ごとに何をいつやるかの全体像は、次の記事にまとめています。
5章:準備のゴールはどこに置けばいい?
中3の秋に、お子さんの手元に複数の選択肢が残っている状態をゴールにします。 志望校を早く決めることより、そのとき本人が選べることを大事にしてください。

野球推薦の話が来たとき、受けるか受けないかを本人が選べる。来なかったとき、一般入試に十分挑戦できる学力が残っている。推薦入試に出願するとき、内申点が足りていて候補に入れる。どれを選ぶかは本人が決めることですが、選べる状態は、それより前の準備でつくっておくものです。
保護者の方の役割は、この「選べる状態」を一緒に保つことだと考えています。進路を代わりに決めたり、毎日勉強を見張ったりする必要はありません。条件を調べ、時期を決め、続く形の習慣をつくる。この3つで十分です。
そして、これを家庭だけで全部背負う必要もありません。学校、チーム、外部のサービス。役割を分けたほうがうまくいく部分は、分けてしまってよいと思います。
まとめ
| 項目 | 押さえておきたいこと |
|---|---|
| 時間 | 引退から入試まで5〜8か月。勝ち上がり方で1か月以上ずれる |
| 進路 | 野球推薦/推薦入試と一般入試の並行/引退後に一般入試の3つ。早く1つに絞る必要はない |
| 成績 | 野球推薦でも5科16〜21などの内申の基準がある。「1」や欠席日数を条件にする学校も多い |
| 英検 | 制約は日程より期限。中3の11月までに結果をそろえる |
| 内申点 | 数えられる学年は地域で違う。準備を始める時期とは分けて考える |
| ゴール | 中3の秋に、本人の手元に選択肢が複数残っている状態 |
よくあるご質問
Q. 野球推薦と一般入試、どちらの準備を優先すべきですか
A. 中1・中2の段階では、どちらか一方に絞る必要はありません。内申点を取る動きと基礎学力を保つ動きは大部分が重なるので、両方の準備が同時に進みます。方針を決めるのは、野球推薦の話が具体的になる中3の時期にし、その月をあらかじめ決めておくのが現実的です。
Q. 野球推薦なら、内申点は関係ありませんか
A. 関係あります。関東の私立高校の野球推薦では、関東第一の5科16、浦和学院の単願5科16または9科30のように、内申の合計の基準を出願の条件にしている学校があります。加えて、9教科に「1」がないことや、欠席日数の上限を条件にしている学校もあります。基準は学校と年度で変わるので、受験する年度の募集要項で確かめてください。
Q. 英検は中3のいつまでに取ればいいですか
A. 目安は中3の11月までです。英検S-CBTは原則毎週の土日に実施されているので、大会と日程が重なって受けられないという状況は、ほぼ避けられます。期限は入試の時期から考えます。東京の私立高校の推薦では12月15日以降に入試相談が行われるので、第2回検定(8月〜11月実施分)までに受けて結果をそろえておくのが安全です。
Q. 内申点はいつから意識すべきですか
A. 受験で数えられる学年は地域によって違い、東京都は中3、神奈川県は中2と中3、埼玉県と千葉県は中1から中3です。ただし、中3だけを数える地域でも、中1・中2の内容は中3の成績に響きます。数えられる学年とは別に、中1から授業と提出物を取りこぼさないことを意識しておくと安心です。
Q. 練習で塾に通えません。どんな選択肢がありますか
A. 通塾以外にも、オンライン家庭教師、映像教材、学習管理サービスといった選択肢があります。それぞれ向き不向きがあり、「教えてもらう時間が足りない」のか「何をやるかが決まらない」のかで、選ぶべきものが変わります。Nobilva は後者、つまり学習の設計と進捗管理を担当するサービスです。4つのタイプの費用と選び方は、次の記事で比べています。
進路選びの全体をまとめて読める本として、 『野球をがんばる中学生の高校受験』(Kindle版)も出しています。
出典一覧
| 項目 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|
| リトルシニア 日本選手権(第54回)日程 | 日本リトルシニア中学硬式野球協会 関東連盟 大会情報 | 2026-07-29 |
| ボーイズリーグ 選手権大会(第57回)日程 | 公益財団法人日本少年野球連盟「2026年 連盟主催大会日程」 | 2026-07-29 |
| ヤングリーグ 選手権大会 日程 | 全日本少年硬式野球連盟(ヤングリーグ)公式サイト | 2026-07-29 |
| ポニーリーグ 全日本選手権(第52回)日程 | 一般社団法人 日本ポニーベースボール協会 関東連盟「スケジュール(2026年)|2026年 関東連盟 事業計画」 | 2026-07-29 |
| 全国中学校軟式野球大会(第48回)日程 | 令和8年度全国中学校体育大会 軟式野球競技 | 2026-07-29 |
| ジャイアンツカップ(第20回)日程・開催地 | 日本ポニーベースボール協会 関東連盟「スケジュール(2026年)」/大会公式発表 | 2026-07-29 |
| 全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメント(第43回)日程 | 公益財団法人全日本軟式野球連盟「第43回全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメント」大会概要 | 2026-07-29 |
| 桐蔭学園 推薦入試 出願資格・コース別基準 | 桐蔭学園高等学校「2027年度 推薦入試・一般入試 生徒募集要項」 | 2026-10-24 |
| 関東第一 アスリートコース(第一志望優遇)の出願基準と入試区分 | 関東第一高等学校「令和9年度(2027年度)入試 出願基準」「令和9年度(2027年度)入試 生徒募集要項」 | 2026-10-30 |
| 浦和学院 アスリート選抜コースの中学校推薦基準・推薦の留意点 | 浦和学院高等学校「生徒募集要項 2027年度入試」 | 2026-10-24 |
| 都立推薦の調査書点比率・特別推薦の扱い | 東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」/同「入学者選抜実施方法一覧」 | 2026-07-29 |
| 都立「文化・スポーツ等特別推薦」の令和9年度の実施校数 | 東京都教育委員会 令和9年度 実施要綱 添付資料「文化・スポーツ等特別推薦の実技検査内容等一覧」 | 2026-10-23 |
| 令和9年度都立高校入学者選抜 日程 | 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜の日程について」 | 2026-10-23 |
| 東京の私立高校の入試相談の時期 | 東京都教育委員会「令和9年度高等学校就学計画について」 | 2026-10-24 |
| 内申点の対象学年(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 各都県教育委員会の選抜要綱に基づく整理 | 2026-07-29 |
| 英検 2026年度試験日程・S-CBTの実施・本人確認 | 公益財団法人日本英語検定協会「2026年度 試験日程」「英検S-CBT」公式ページ「2026年度からの本人確認について」 | 2026-09-27 |

中村龍人














