都立高校のスポーツ推薦に受かる子は?倍率と配点、令和9年度の日程
都立高校のスポーツ推薦(文化・スポーツ等特別推薦)を、東京都教育委員会の令和9年度の実施要綱と実施校の一覧から整理しました。硬式野球を行う58校の配点と令和8年度の応募倍率、出願の流れ、不合格だったときの一般入試までの日程をまとめています。

都立高校のスポーツ推薦は、正式には「文化・スポーツ等特別推薦」といい、中学校長の推薦を受けて出願し、調査書と面接、実技検査で選ばれる仕組みです。令和9年度入試では硬式野球で58校が実施し、募集人員は合わせて221人です。ほとんどの学校が内申(調査書点)と実技検査の両方を点数にしていて、内申が総合点の半分を占める学校が最も多くなっています。
この記事は、野球をがんばる中学生の保護者に向けて、東京都教育委員会の令和9年度の実施要綱と実施校の一覧、令和8年度の応募状況をもとにまとめました。制度の仕組みと日程、倍率、配点から見える「受かる子」の条件、不合格だったときの一般入試までの流れを順に整理しています。

都立高校のスポーツ推薦とはどんな制度?
都立高校の推薦入試の一つで、部活動などで力を発揮してきた生徒を、学校ごとに決めた種目と人数で選ぶ制度です。 都立の推薦入試(推薦に基づく選抜)には、一般推薦、文化・スポーツ等特別推薦、理数等特別推薦の3種類があり、このうち文化・スポーツ等特別推薦が一般にスポーツ推薦と呼ばれています。実施する学校と種目、人数、推薦の基準、配点は、都教委が毎年公表する実施校の一覧に学校ごとに載っています。
中学校長の推薦を受けて出願し、高校の検査で選ばれる
本人が志願の意思をもち、中学校長の推薦を受けて出願したうえで、高校の検査で合否が決まります。 実施要綱では、志願する都立高校を第1志望とし、在学している中学校の校長の推薦を受けた生徒が出願できると定めています。中学校長は、校内の推薦委員会などの審査を参考にして推薦する生徒を決めます。スポーツ推薦で受けたい学校がある場合は、まず担任の先生にそのことを伝えておきましょう。
検査では、志願者全員に個人面接か集団面接と、実技検査を行います。学校によっては作文や小論文を組み合わせることもできますが、令和9年度に硬式野球で実施する58校には、作文や小論文を課す学校はありませんでした。合格した場合は入学確約書を出すことになり、その年の都立の一般入試(第一次募集)には出願できません。
クラブチーム(シニア・ボーイズ)で野球をしている子も出願できる?
出願できます。部活動の子と同じく、中学校長の推薦を受けて出願します。 硬式野球の58校のうち44校が、推薦の基準に「野球部又はクラブチームに所属して活躍した者」のようにクラブチームを書いていて、「軟式、硬式を問わず」と書き添えている学校もあります。都教委の実施校の一覧の冒頭にも、部活動には地域クラブ活動を含めるという注記があります。基準にクラブチームと書いていない14校も、クラブチームの子を対象から外すとは書いていません。受ける学校の基準を読み、当てはまるか迷うときは担任の先生に相談しましょう。
令和9年度の日程は?
令和9年度入試では、出願書類の提出が2027年1月8日から18日(必着)、検査が1月26日と27日、合格発表が2月2日です。 出願に必要な情報は、2026年12月18日からインターネットの専用サイトに入力します。調査書などの書類は、中学校を通じて、提出期間内に届くよう都立高校に郵送します。
| 手続き | 日程 |
|---|---|
| 出願情報のインターネット入力 | 2026年12月18日〜2027年1月18日 |
| 出願書類の郵送(中学校を通じて、期間内に必着) | 2027年1月8日〜18日 |
| 検査(面接・実技検査など) | 1月26日・27日 |
| 合格発表 | 2月2日 |
| 一般入試(第一次募集)の出願書類の提出(必着) | 1月29日〜2月4日 |
| 一般入試(第一次募集)の学力検査 | 2月21日 |
出典:東京都「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について」(2026年9月17日)
12月の三者面談までには、志望校とスポーツ推薦を考えていることを担任の先生に伝え、中学校長の推薦を受けられるかどうかを相談しておくと安心です。
倍率はどれくらい?硬式野球で実施する学校と人数
令和8年度の硬式野球のスポーツ推薦は、58校の募集人員220人に425人が応募し、応募倍率は全体で約1.93倍でした。 都教委が2026年1月20日に発表した応募状況を、学校ごとに足し合わせた数字です。応募人員には、同じ学校の一般推薦にも同時に出願した人が含まれます。
学校ごとの差は大きく、大崎(6.67倍)、東大和南(6.00倍)、文京(5.67倍)、豊多摩(5.00倍)の4校は5倍以上でした。一方で、58校のうち9校では応募人員が募集人員に届いていません。人気が集まる学校と、比較的落ち着いている学校がはっきり分かれています。
令和9年度は58校で、募集人員は合わせて221人です。前年から淵江が外れて王子総合が加わり、日野が6人から10人に、文京と田無が3人から4人に増え、光丘が3人から1人に減りました。倍率は年によって動くので、前年の倍率は目安として見て、配点と推薦の基準もあわせて学校を選びましょう。軟式野球では八潮が男子4人を募集していて、令和8年度は募集4人に対して応募は2人でした。
スポーツ推薦に受かる子は?配点から見える内申と実技の重み
都立のスポーツ推薦では、多くの学校で内申と野球の実技の両方が合否に関わります。 実施校の一覧に載っている硬式野球58校の配点を1校ずつ確かめると、全校が面接と実技検査を行い、57校が調査書(9教科の評定)を点数にしていました。

58校の半分以上で、内申が総合点の半分を占める
調査書点が総合点のちょうど半分になる学校が36校あり、最も多い形です。 たとえば城東は、調査書400点、集団面接200点、実技検査200点の合計800点です。武蔵丘(60%)、東大和南(56%)、府中東(53%)の3校は、調査書点が総合点の半分を超えています。調査書点が実技検査の点より大きい学校は、58校のうち46校ありました。
| 調査書点が総合点に占める割合 | 学校数 | おもな学校 |
|---|---|---|
| 50%を超える | 3校 | 武蔵丘、東大和南、府中東 |
| ちょうど50% | 36校 | 城東、杉並、日野、狛江など |
| 40%台 | 6校 | 足立西、上水、篠崎、小川、武蔵村山、片倉 |
| 30%台 | 5校 | 墨田工科、大山、光丘、久留米西、第四商業 |
| 30%未満 | 8校 | 大崎、総合工科、府中工科、田無工科、永山、杉並工科、多摩工科、足立新田 |
出典:東京都教育委員会「令和9年度文化・スポーツ等特別推薦実施校の選抜方法等一覧」をもとに、調査書点を調査書点・面接・実技検査の合計で割って計算
野球の実績で基準に当てはまっていても、内申の差がそのまま総合点の差になる学校が多いということです。2学期の成績がどう決まるかは、別の記事でまとめています。
実技検査や面接を重く見る学校もある
実技検査や面接の配点が大きい学校もあり、子どもの強みに合わせて学校を選ぶ余地があります。 大崎は調査書200点、個人面接250点、実技検査450点で、実技が総合点の半分を占めます。広尾や大山、光丘、永山など8校も、実技検査が総合点の40%を占めます。工科高校には面接を重く見る学校が多く、総合工科、府中工科、田無工科は調査書200点、個人面接400点、実技検査200点です。足立新田は調査書を点数にせず、個人面接500点と実技検査300点で選びます。内申に自信があるか、実技に自信があるかで合う学校は変わってくるので、志望校の候補ができたら、実施校の一覧で配点を確かめておきましょう。
各校の基準に書かれている「学業と両立」
58校のうち46校が、推薦の基準に学業や学習活動と部活動の両立を書いています。 「本校における学業と両立することができる者」「学業と部活動の両立ができる者」のように言い回しは学校ごとに違いますが、入学後も3年間野球部の活動を続けることと並んで、高校の勉強と両立することが、多くの学校で推薦の条件の一つになっています。高校に入ってからも、練習と勉強を同じ毎日の中で回していく力が求められているということです。
実技検査と面接では何を見られる?
硬式野球の実技検査は、走る・投げる・捕る・打つの基本を見る種目の組み合わせが多く、学校ごとの内容は都教委の実技検査の一覧で確かめられます。 50m走、キャッチボールや遠投、ノック、ティーバッティングなどを組み合わせる学校が多く、キャッチボールやノック、バッティングをソフトボールで行うと書いている学校もあります。雨のときは、走る距離を30mや20mに縮めたり、反復横跳びや立ち幅跳びなどに種目を替えたりする学校もあります。グローブやスパイクの扱いなど持ち物も学校ごとに指定されているので、受ける学校の欄を必ず読んでおきましょう。
面接は、58校のうち37校が個人面接、21校が集団面接です。実施校の一覧には、各校の野球部が今後3年間で目指していること(夏の東東京大会や西東京大会でのベスト8以上など)も載っています。志望理由を話すときは、その学校が目指していることと、自分がそこでどう力を出したいかを結びつけて話せるようにしておくと準備がしやすくなります。
推薦で不合格だったら、一般入試に間に合う?
間に合います。合格発表の2月2日から一般入試(第一次募集)の学力検査の2月21日までは19日あり、出願書類は2月4日必着で受け付けています。 推薦の合格者は第一次募集に出願できないので、推薦の結果を見てから一般入試に出願する流れになります。発表から出願書類の締め切りまで2日しかないため、一般入試で受ける学校と出願書類は1月のうちに用意しておきましょう。出願書類は中学校を通じて郵送するので、中学校が決める締め切りは2月4日より前になることがあり、担任の先生に早めに確かめておくと安心です。

令和8年度の応募倍率は全体で約1.93倍なので、スポーツ推薦の枠だけを見ると、応募した子の半分ほどは合格できない計算です。大崎は募集3人に20人が応募していて、倍率の高い学校ではさらに厳しくなります。実技と面接の準備に時間を取られる1月も、一般入試の5教科の勉強を続け、推薦と一般入試の2つの準備を並べて進める前提で計画を立てておくと、結果が出たあとに慌てずにすみます。私立高校の併願もあわせて考えている場合は、相談の仕組みを別の記事でまとめています。
東京以外の公立高校にスポーツ推薦はある?(神奈川・埼玉・千葉)
神奈川・埼玉・千葉の公立高校には、都立のようなスポーツ推薦の枠はありません。 神奈川は、全日制の公立高校が共通選抜で生徒を選び、一部の学校が特色検査として実技検査、自己表現検査、面接を行います。千葉は、全日制の学校・学科(地域連携アクティブスクールを除く)が一般入学者選抜で生徒を選び、各校が面接や適性検査などの学校設定検査を行います。
埼玉は、令和9年度入試から共通選抜と特色選抜の2種類になり、特色選抜では、学校が実技検査か作文(小論文)を行って選抜の資料にすることができます。あわせて調査書の記載項目が9教科の評定と総合的な学習の時間の記録になり、部活動を含む特別活動等の記録は記載項目から外れました。部活動など力を注いだことは、受検生が自分で書く「自己評価資料」に書くことができ、全員に行う面接の参考にされます。
よくある質問
スポーツ推薦と一般推薦は両方出せますか
同じ都立高校であれば、スポーツ推薦と一般推薦に同時に出願できます。 実施要綱では、文化・スポーツ等特別推薦を志願する生徒は、その都立高校の一般推薦にも出願できると定めています。その場合は、一般推薦の面接や作文などの検査も受けることになります。
推薦で合格したら、ほかの都立高校の一般入試は受けられますか
受けられません。 推薦の合格者は入学確約書を出し、その年の都立の一般入試(第一次募集)には出願できません。スポーツ推薦に出願する学校は、第1志望として入学する学校を選びましょう。
中2のうちにできることはありますか
志望校の候補の配点と基準を確かめ、内申と実技のどちらを伸ばすかを決めておくと準備がしやすくなります。 令和9年度入試の実施校の一覧は2026年9月17日に公表され、実施校や人数、配点は年度によって変わります。中2のうちは今の一覧で学校ごとの傾向をつかみ、中3の秋に新しい年度の一覧で確かめ直しましょう。
まとめ
- 都立のスポーツ推薦は「文化・スポーツ等特別推薦」で、中学校長の推薦を受けて出願し、調査書と面接、実技検査で選ばれる
- 令和9年度は硬式野球で58校が合わせて221人を募集し、出願書類の提出は1月8日〜18日(必着)、検査は1月26日・27日、合格発表は2月2日になる
- 令和8年度の応募倍率は全体で約1.93倍で、5倍以上の学校から応募が募集に届かない学校まで差が大きい
- 58校のうち36校で調査書点が総合点のちょうど半分を占め、実技や面接を重く見る学校もある
- クラブチームで野球をしている子も、中学校長の推薦を受けて出願できる
- 不合格でも一般入試の学力検査まで19日あり、出願書類は中学校を通じて2月4日必着で出す
スポーツ推薦は、内申と野球の両方を積み上げてきた子が力を出しやすい入試です。志望校の配点を確かめたうえで、2学期の成績と実技の準備、一般入試の勉強を同じ計画の中で進めていきましょう。
参考にした資料
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20260917_24_01
- 東京都教育委員会「令和9年度文化・スポーツ等特別推薦実施校の選抜方法等一覧」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20260917_24_16
- 東京都教育委員会「文化・スポーツ等特別推薦の実技検査内容等一覧」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20260917_24_19
- 東京都「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について」(2026年9月17日) https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/09/2026091723
- 東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(推薦応募及び国際バカロレアコースの応募)」(2026年1月20日) https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/01/2026012001
- 神奈川県「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準の公表について」(2026年6月5日) https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/prs/r4485161.html
- 埼玉県教育委員会「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」(2024年9月26日) https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/257619/r9jisshikihonhoushin.pdf
- 神奈川県「公立高校入学者選抜制度の概要」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/nyusenseidogaiyou.html
- 千葉県「令和9年度千葉県公立高等学校入学者選抜『一般入学者選抜』等における検査の内容等について」(2026年7月8日) https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2026/r9kensahou.html
- 千葉県総合教育センター「令和9年度千葉県公立高等学校入学者選抜『一般入学者選抜』等における学校設定検査の内容等について」 https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2026/documents/r9naiyou.pdf

中村龍人





